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二九精密機械工業株式会社 二九良三社長 取材動画

二九精密機械工業株式会社 代表取締役社長 二九良三氏

二九精密機械工業株式会社の二九良三社長にミドル層人材活用について聞きました

二九(ふたく)精密機械工業株式会社は1917年(大正6年)に創業し、京都で100年以上にわたって機械加工の分野で発展を続けてきた企業です。現在は精密機械加工、金属加工、βチタンパイプ加工を得意とし、世界に通じるものづくりと、手厚い福利厚生制度による良好な職場環境を実践し、社員の働き方改革が高く評価されています。

この10年売上高2.5倍や従業員数が3倍に増え、経済産業省からグローバルニッチトップ100選(2020年)に選定され、6年連続で健康経営優良法人(2017〜2022年)にも選ばれています。今回は代表取締役社長の二九良三氏に、ミドル層人材活用のノウハウを伺いました。

ーーお名刺や会社パンフレットに記載された4M+S=29にはどんな思いが込められているのでしょうか?
私どもが考える“ものづくり”の基本は、Man(人)、Material(素材)、Machine(機械)、Method(方法)に集約されます。この4つの柱に新しい技(Skill)が組み合わされた時に、初めて当社の技術が確立されると確信しています。この思いを数式に込めました。

二九精密機械工業株式会社_ロゴ

大手企業出身のミドル層人材が集まり、熱量が広がっていく

ーー本プログラムのミドル層人材活用を検討された背景を教えてください。
元々ものづくりの会社ではありますが、お客様から図面をいただき、図面通り忠実につくる下請け期間が長くありました。100年以上も製造業を続け、そのままでは発展がないので、「これまで培った技術を生かして、自社開発していきたい」との思いから、産業雇用安定センターからのご提案もあり、スキルの高い大手企業の人材の受け入れを検討するようになりました。

二九精密機械工業株式会社_技術力

ーーどのような人材を受け入れられたのでしょうか?
主に大手企業に勤められた方ですが、業種は問いません。当社のお客様は業種が広いので、開発、設計に限らずどんな方でも活躍できます。採用したみなさんは熱量のある方ばかりで、多様なスキルを持った人材が集まったことで、大抵のお客様の課題は、ワンストップで解決できるようになりました。最近ではありがたいことに、大手企業から出向させたい企業として逆指名されるようにもなりました。

ーーミドル層人材を出向・転籍で採用されて良かった点をお聞かせください。
他社からの見る目が変わりました。また、従業員に対して今まではその時の雰囲気で評価してしまっていた部分がありましたが、最近ではデータや数字で評価するように改善されてきました。その結果、トップダウンではなく、上司と部下が相談し合いながら仕事をするような状況がかなり見受けられるようになりました。

二九精密機械工業株式会社_社員2

ーー大手企業から人材を受け入れることで、社内に変化はありましたか?
ありました。特に若い社員がミドル層人材の人たちと会話をすることによって、自分の意見をしっかり言うようになりました。そういう意味では、人材育成に熱心な方々がモチベーションをうまく若手に分け与えてくれたことで、会社全体がボトムアップしている気がしますね。行動の差は顕著です。若手社員の目が輝いています。やはり大手企業で管理職を経験された方は若手育成が上手です。

ーー採用の際に注意されているポイントはどんなところでしょうか?
当社のような中小企業で、今までと目の位置を変えず、大手ならではの方針で「こうしましょう」と言ってもハレーションが起きてしまうので、「目線を落して一度じっくり状況を把握してください」とお伝えしています。
最初の3ヶ月で工場を見て回ったり、お客さまのところに行って当社の現状・課題を知っていただき、残りの3ヶ月は自分で何ができるかを判断していただく期間にしてもらっています。
即戦力だからといって、急にどこかの部署に配属して働き出すのではなくて、目線を下げてもらう、いわば「あく抜き」の期間を6ヶ月設けているんです。
即戦力の方はいろんなことができると思いますが、周りの従業員がついていけなくなることもあります。急に職場に宇宙人が舞い降りてきたようになってしまい、かえって空回りしてしまうので、その方が当社に慣れるまでの期間をつくるようにしています。

ーー元々工場で働く方と新しく入った方の間で少しハレーションが起きることもある、ということですか?
あります。だから最初の6ヶ月間を大事にしています。ひとりで配属されて工場の雰囲気に慣れるのは難しい人もいるので、必ず複数人を採用して配属するようにしています。南丹市にある八木工場の製造部長は上場企業を辞めてこられた方ですが、6ヶ月間のプロセスを経て、じっくりと時間をかけて工場を改善していただき、元々工場にいた社員からも実力を認められたので、工場長になってもらいました。

二九精密機械工業株式会社_社員1

「家庭が一番!仕事はその次!」長く安心して働ける環境に

二九精密機械工業株式会社_社長_二九良三氏

ーー御社のウェブサイトを拝見して感じたのですが、 家庭をものすごく大事にされていますね。
私は仕事に没頭しすぎて家では妻から「うちは母子家庭だ」と言われてしまっていて。でも従業員に対しては、やっぱり家庭で心配事がないようにしたいので家庭が仕事よりも大事と伝えています。急に子どもが熱を出したりしたら、すぐ帰宅するように伝えています。

ーー工場責任者の方が、がんになったことがきっかけで治療と仕事の両立支援制度を推進されたと、厚生労働省のウェブサイトで拝見しました。
がんになった際、「自分の都合でなかなか会社を休みづらいので退職します」という話を聞いて、「そんなのはもったいない。それならしっかり治療して復帰してほしい」と2017年1月から「入院手術見舞金制度」などを設けました。がんの治療から職場に復帰した社員が6名在籍しています。

ーー今後ミドル層人材の活用を検討する企業へのアドバイス、メッセージをお聞かせください。
会社を変えたい!何かをやりたい!と考えたときに、躊躇したら何もできません。次の仕事を目指すためには、自社の人材をもっと強くしなければなりません。これは人財確保のチャンスです。
私はよく「先の話をする前に『たられば』で考えるな」と言っています。当社の営業担当が「忙しいときに仕事が増えたらどうします?」と言えば、「そうなる前に人員を増やせばいい」と言います。みんなリスクを考えて予防線を張りますが、それを100年も続けていては成長しない。「リスクは経営陣でカバーするから心配事の情報がほしい」と言うようにしています。
それともうひとつ。人は経験を重ねると、ついつい人の悪い部分に目がいきがちになりますね。「弱い部分をつつくのではなく、良い部分を見るようにしよう」と伝えています。怒られて仕事するより、褒められる方がいいでしょう。私たちはそういうスタンスでミドル層人材を活用してきました。

産業雇用安定センター担当者コメント

 創業100年を超える企業ですが、最近5年間で30名以上の大手企業の多様な人財を在籍出向、移籍で採用されています。皆さん得意な分野で活躍、事業貢献されています。この企業には三つの特徴があります。① まねのできない精密加工技術を持っている。② 半導体、分析機器、医療用処置具という成長市場において、良質な顧客基盤を持っている。③ 風通しの良い組織風土を持っている。三つの特徴が、採用と貢献にうまく結びついています。
公財)産業雇用安定センターでは、これからも,企業と人財の架け橋として、地域企業の企業成長・活性化に繋げていただけるよう,多面的な経験を持った大手企業人財の情報をお届けしてまいります。

公益財団法人 産業雇用安定センター
産業雇用安定センターは、厚生労働省、経済・産業団体や連合などとの密接なつながりをもとに、本部と全国47都道府県の地方事務所の連携による全国的なネットワークにより、再就職・出向の支援事業に取り組んでいます。

参考 二九精密機械工業株式会社

1 事業内容
・メディカル・分析・産業機器・一般工業製品のコア機構部の開発、設計から製造精密機械部品切削加工(各種複合切削加工・小径シームレスパイプの製作・高速微細加工・ハステロイ、インコネル、チタン、SUS等、難削材の加工)
・小径βチタン合金パイプの製造/販売/提案
・精密機械部品検査装置等の販売
・眼鏡ゆるみ止めネジ等の販売
・眼鏡用線材

2 創業
1917年(大正 6年)3月1日

3 従業員数(令和4年4月末現在)
260人

4 代表者
代表取締役会長 二九宏和
代表取締役社長 二九良三

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