活動実績

実際にマッチングした実績をご紹介

社員の副業で新たな適性・能力を発見!

『化学を通してお客様に創造と革新をもたらす会社』

創業当時から、『化学を通してお客様に創造と革新をもたらす会社』 になるべく、研究分野・生産分野のサポートで「モノ作り支援企業」としての成長を目指す佐々木化学薬品株式会社。常に時代の変化を的確に捉えながら、お客様へ大きな喜びと革新を生み出すためにチャレンジを続けています。

社員の皆さんが、仕事と日常生活のどちらも充実させることができる環境づくりにも積極的に取り組み、2012年12月、京都市「真のワーク・ライフ・バランス」推進企業表彰にて、第1回市長賞を受賞した企業が、どのような想いで社員の皆さんに副業・兼業をすることを認め、実際にどのような効果があったのかを、代表取締役 佐々木智一氏に伺いました。

副業・兼業へのスタンス

弊社では、職種を問わず、全ての社員に副業・兼業を許可しています。副業によって収入が発生する場合は、会社へ申請をしてもらい、そうでない場合は申請不要としています。

副業・兼業制度を導入する以前から、家業・ボランティアなど、本業以外にも取り組んでいる社員は潜在的にいました。例えば、弊社の執行役員は、500年続く、京都東山にある飴屋さんの21代目次期当主です。弊社の休日である土曜・日曜は店舗の運営など家業を手伝っています。

制度を正式に導入してからは、副業が本業以外の収入となるなら会社への申請を必要としています。
また、心身に過度な負担がかかるような仕事は避けるように伝えています。これは、確定申告の問題と、社員の安全衛生管理義務として、副業先の仕事内容を把握しておく必要があるためです。

現在、申請せずに家業の手伝いなどをしているのは4~5名ほど、正式に副業申請をしているのは2名です。

大切なのは『本人が何を思って副業をするか』

副業申請をしている社員の一人は、弊社で配送業務を担当しています。年々、お客様のセキュリティーが厳しくなり、営業が入れなくなるエリアも増えてきました。また、最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響で、訪問営業ができないといった状況の中、商品配送の際に新規のご注文やお客様のご要望を聞き出してきてくれる、頼れる存在です。お客様からも高い評価をいただいています。
彼は配送という仕事がとても好きで誇りをもっています。副業でも『運ぶ仕事がしたい』と、Uber Eatsの配達員をしています。Uber Eatsの配達員と聞くと、『お金を稼ぐため』と感じる方もいらっしゃると思いますが、大切なことは、その人が何を思ってその仕事をするかということ。
仕方がなくその仕事を選んでいるのではなく、休日に大好きな配達をして、副業として収入を得ています。

 先日、誇らしげに顧客満足度100%という評価を見せてくれましたが、それが配送のプロとしての彼のプライド(誇り)なのです。

会社が知らなかった社員の能力の発見

社員が副業・兼業をすることのメリットは、本人の視野が広がるプラスの面だけでなく、会社にとって、その社員の適性を見極める一つの情報になることです。

もう一人副業申請をしている社員は、WEBライターの副業をしたいと申請しました。彼は、弊社で薬品を仕入れる調達の仕事をしています。WEBライターは、WEBサイト上の文章を書く仕事です。ホームページの文言や、文章表現を上手にまとめたりします。彼が、自分にその能力があると認知して、その強みを活かせるWEB ライターを副業に選んだからこそ、会社は、今まで調達をする能力でしか評価していなかった社員の、別の適正・能力の発見をすることができました。
今後、自社のホームページの文章も書くことになれば、会社にも貢献してもらえるし、本人も社内に自分の能力を発揮できる新たな場ができて嬉しいと思います。

『社員一人一人の適性を見極め、発揮できる場を提供すること』は、会社としての責任でもあります。社員自身が知っている自分の適性と、自分でも気づいていない適性を会社が発見して、その人にあった自社の仕事をどんどんしてもらう、それが『働き方改革』だと思っています。

副業は必ずプラスになる!私と同じ経験を社員にもして欲しい

当初、社内でも「本業に身が入らなくなるのではないか」、「副業で疲れてしまのでは」という意見もありましたが、最終的に導入を決めたのは、社員が副業をすることは絶対にプラスになると思ったからです。

私自身、佐々木化学薬品の代表取締役以外に、上場企業の社外取締役や、プライベートカンパニー2社の役員もしています。まさに副業です。そこで社外取締役として、客観的な視点を持って様々な意見を、その企業の代表者に伝えますが、その言葉が自分に返ってくるのです。『自分の会社では、本当にできているのか』と。
それと同じように、自分の会社以外のことを知ったり、経験したりすることはプラスになるのだと私が体感しているからです。

その経験は、私だけではなく、社員にもして欲しいと思っています。
副業・兼業をすることで、自分の視野を広げたり、仕事そのものを見直す機会であったり、もしかすると、その人のキャリアアップ・転職のきっかけになるかもしれません。

社員の成長を応援できる企業に人が集まる

社員が副業・兼業をすると、転職してしまうのではないかと心配される企業もあります。私は逆に、そんな企業ほど人がいなくなるのではないかと思っています。

日本では、辞める=マイナスという考え方が根強くあります。社員が辞めることによって、一時的には生産性や効率が落ちるかもしれません。でも、社員がどんどんキャリアをつけられるような環境を提供し、その人の適性を発見してあげられる企業や、場合によっては自分のやりたいことを見つけて転職する社員を「頑張っておいで」と、送り出してあげられるような企業であれば、もしかしたら転職した社員が、「自分の能力を発見してくれたこんな会社があるんだ」と宣伝してくれて、逆に転職先の会社の人が、来てくれるかもしれません。

今は、そうやってどんどん人材(人財)を流動させていく時代だと考えています。
副業・兼業への取り組みで能力を発揮できれば、その人の収入や価値があがります。それだけでなく、会社の人材不足・能力不足の補完にも繋がっていく仕組みになるので、副業・兼業はもっと多くの企業で推進していくべきだと思います。

弊社でもまだ遅くまで残業をしている社員もいます。そういう人たちにも、副業・育児・介護・ボランディアなど、自由に使ってもらえる時間をできるだけ多く持ってもらえるように、生産性を落とすことなく、いかにDXを推進していくのかが、経営者としての私の仕事です。

お客様ファーストから社員ファーストへ

佐々木化学薬品は、創業以来、お客様満足が一番という考えで事業を続けてきましたが、『社員一人一人が自分の可能性を最大限に発揮する会社をつくる』という経営方針に変えました。
実際に企業の代表となって、会社に対する社員の満足度が上がれば、お客様満足度も上がるということに気づいたからです。会社が社員をリスペクトすることで、自分の会社・仕事に誇りをもつ。そして、社員が自然と元気になって、お客様にも満足いただけると。

今回の経営方針の変更は、具体的なやり方を示すというより、会社のあり方を示したものなので、どうしたらいいのか分からないと思う社員もいます。変化に感じる不安の度合いも、それぞれ違うので、社員一人一人と面談し直接想いを伝えていくことにしました。

この面談は、『私自身が社員から学ぶ機会』と位置付けています。一対一で話をする中で、これからの会社の方向性を決める材料にもなり、『こんなアイデアや特性を持っているんだ』と、社員から学ぶことは間違いなく多いと感じています。

今後も、経営者として、社員との対話の中から多くを学んで、働きやすい環境づくりや、もっと自由な時間ができるような業務改善・DXを推進しなければなりません。副業に限らず、社員全員がイキイキと働き、成長できる会社づくりを目指し、『他にはないサービス・商品』でお客様に貢献したいと思います。