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~副業人材活用で成果を出すためのコツ「外部委託業務の切り出し方」とは~

なま麸・やき麸・ゆばの製造販売を行っている企業です。
創業は今から330年以上も遡る元禄2年(1689年)、宮中で麸づくりを覚えた初代が京の町で店を構えたのが始まりです。家訓の「先義後利」「不易流行」の精神を守り、今日まで伝統文化を受け継ぎつつも時代に合わせた挑戦を続けています。

今回は、株式会社半兵衛麸において、人事制度の運営や事業計画等の業務に取り組まれている人事総務部顧問の水之江徹様にお話を伺いました。
副業人材を活用しようと考えた背景について教えてください。
私がパナソニックを定年退職し、複数の京都企業を経て半兵衛麸に入社した際、会社には多くの課題が山積していました。
まず私が取り組んだことは、各部門・個人の活動計画や課題のヒアリングです。その結果、事業計画の推進や生産管理、事業リスクへの対応等の課題が明らかになりました。しかし、現場は通常業務に追われ、新しい挑戦に取り組む余裕がない状況でした。せっかく課題が明らかになったものの、社内リソースだけでは到底解決が難しいという現実に対し、外部人材の活用検討を始めました。
そのような中、地域企業「担い手交流」実践プログラムのセミナーに参加し、副業人材を活用するという選択肢を初めて知ることができました。 高いスキルを持った副業人材を、コンサルタントよりも安価に導入できるという点に大きな魅力を感じました。

社内の課題を明確化するために従業員の方へヒアリングされたとのことですが、どのような手順で進められたか詳しく教えてください。
まず、従業員約50名全員と面談し、一人一人の課題をヒアリングしました。また、各部門長とも面談し、事業計画をもとに前年度の総括と今年度の課題を確認しました。
その結果、全ての課題を同時に解決するのは現実的に難しいと判断し、3年ごとの計画を立て、各期間で取り組む課題に優先順位をつけて進めることにしました。
ヒアリングによる社内の課題整理を経て、副業人材に委託する業務の切り出しができたわけですね。
そうです。社内の課題を「社内で解決すべきこと」と「社外に委託すべきこと」という観点で整理をしました。社外に委託するものとして、副業人材に担当していただくテーマに設定したのが、事業計画のスキームづくりや増販といった課題でした。

副業人材の募集と採用のプロセスについて教えてください。
副業人材の募集には、民間企業の副業人材紹介サービスを活用しました。新卒採用や中途採用にも苦戦していたため、副業で良い人材が集まるかどうか当初は不安でした。
しかし、募集を開始したところ、驚くことに約3ヵ月で40名を超える応募がありました。最終的には、その中から2名を選定しました。
両者とも大手企業に在籍している方で、1名はオンラインで増販提案を担当していただき、社長への報告を経て、当期の事業計画に反映させました。そして、もう1名は自社に実際に足を運んで、具体的な原価のしくみと事業への展開を担当いただいており、現在も契約を更新し、継続的にご協力いただいています。
副業人材はどのような手順で絞り込みましたか?
まず書類審査では、経歴や実績を当方と企画責任者で確認しました。選考基準は「課題認識」「増販提案」「事業計画のしくみづくり」「信頼性」「実務力」の5つで、意見が分かれた場合は、議論して決定しました。
次に、書類審査で絞り込んだ13名とWEBミーティングを行い、新たな事業の推進や販売提案など、即戦力として活躍していただける人材かどうか見極めました。そのうえで5名に最終選考に進んでいただき、2名と業務委託契約を結ぶことができました。
選考のプロセスでは、副業人材から弊社の事業課題や将来のビジョンまで提案いただき、その中で副業としてお願いする具体的な業務内容まで議論ができたことで、当方も目指すべきゴールと副業で解決していただく課題を明確化できました。
副業人材にも事業の方向性や直面する課題を十分認識していただくことが副業の成功要因のひとつだと思っています。
副業人材を活用して成果を出すために、どのような工夫をしましたか?
成果を出すためには、副業人材をプロジェクトの初期段階から巻き込むことが重要だと感じました。単に「副業人材=外部の提案者」ではなく、自社の目指すべき経営の方向性、切り出した業務や課題について常に共有し、意見交換の段階からチームの一員として一緒に取り組んでいただきました。その取り組み方が、具体的な意見交換を可能にしたと思います。
また、副業人材とはオンラインでのやり取りが中心になるため、経営陣や部門長と月に3〜4回のミーティングを設け、進捗や課題の共有を密に行い、スムーズな連携を図りました。大切なことは、業務を丸投げせず、事業環境の変化、期待すること、時間軸まで確実に共有していくことです。

副業人材を活用して、どんな気付きがありましたか?
社内の課題を把握し、明確に業務を切り出したうえで副業人材を活用した結果、自社の強みと弱みがより鮮明になり、新たな課題や挑戦すべき分野も確認できました。
また、副業人材と事業の現状や課題を隠すことなく共有・都度進め方を相談し、自社の過去の取組に固執することなく新たな発想や提案まで発展させることが必要だという気付きもありました。
結果、新規事業の構想やマーケティング戦略の展開に関しては、副業人材の経験や知識から新たなアイデアや解決策を得ることができました。
今後の副業人材の活用についてどのように考えていますか?
今後も引き続き、外部の副業人材を積極的に活用していきたいと考えています。また、社内人材にも外部の企業で副業を経験させ、その経験を社員自身のキャリア形成に活かせるような取組も構想しています。
副業は、単に外部のリソースを活用するだけでなく、社内人材にも成長の機会を提供する有効な手段だと感じています。