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副業人材の活用企業のご紹介
副業人材との出会いが、企業の未来を変える

株式会社LINKSu
今回は、株式会社LINKSuにおいて、代表取締役の角川 弘晃様にお話を伺いました。

・どのような企業か教えてください
私はこれまで約30年間、大学や民間研究所向けにバイオテクノロジー関連の研究器具や消耗品を扱う商社で、営業やマーケティングに携わってきました。研究現場に近い立場で仕事をする中で、研究者が日々感じている課題やニーズを数多く見てきました。退職後は独立し、現在は研究者向けの特注研究器具や消耗品の開発・製作、販売を行っています。バイオ分野では海外製品が多く使われていますが、日本の研究現場の細かなニーズに必ずしも合っているとは限りません。そこで研究者からの要望をもとに、一点ものの研究器具を設計・製作する事業を行っています。現在はDNAを精製するための実験器具の開発・販売を行っています。バイオ業界の中でも比較的ニッチな分野ではありますが、遺伝子研究を行う研究機関では欠かせない器具です。
・副業人材の活用を検討するに至った経緯を教えてください
現在は3D CADを使い、自分で設計も行っていますが、もともとは営業職で、設計は独学です。簡単な設計や試作には対応できますが、複雑な構造になると、自分一人では限界を感じることもありました。小規模事業者にとって設計の専門職を雇用することは容易ではなく、外注する場合も費用面の負担があります。
一方で、以前から販売している製品は研究現場で長く使われているものの、少しマンネリ化していると感じていました。また、数年前から温めていた製品の構想もありましたが、技術的な壁もあり、なかなか形にすることができませんでした。そうした中で副業人材制度のお話をいただき、専門的な知識や経験を持つ方と一緒に取り組めば、新しい製品を形にできるのではないかと考え、活用を検討しました。

・ どのような方に来ていただきましたか
来ていただいたのは、自動車部品の設計会社で働いている設計エンジニアの方でした。自動車の内装部品に使われる「ファスナー」と呼ばれる留め具や、ケーブルを固定する部品などの設計を担当されている、設計分野のプロフェッショナルです。研究器具と自動車部品では業界は大きく異なりますが、異分野の視点から新しいアイデアが生まれるのではないかと期待し、オンライン面談を経て一緒に取り組むことになりました。
・副業人材の方はどのような活動をされましたか
副業人材の方には、数年前から構想していた研究器具の設計を一緒に進めていただきました。
例えば、部品を差し込むと簡単には抜けないものの、必要なときには引き抜くことができるような構造を実現するためには、わずかな寸法の違いが重要になります。何ミクロン単位の差で動きが変わるため、製品として成立する設計にするには専門的な知識が必要でした。
こちらには「こういう動きにしたい」というイメージはあっても、斜めの角度や細かな寸法を図面として具体化することは難しく、副業人材の方には設計のプロの視点から、その微妙な差や構造を具体的な図面として形にしていただきました。また、異業種での経験を生かし、「こうしてみてはどうでしょうか」といった提案をいただくことも多く、一部には既存の自動車部品を活用するアイデアも取り入れることができました。
・ 依頼した業務内容について教えてください
今回お願いしたのは、DNAを精製する際に使用する「マグネットスタンド」と呼ばれる研究器具の設計です。
DNAを精製する工程では「磁気ビーズ」と呼ばれる粒子を使用します。その際、磁石の位置を調整する必要がありますが、従来の製品では磁石の位置を一つ一つ回して調整する必要があり、少し手間がかかるという課題がありました。
そこで、磁石の位置を回転させることでスムーズに調整できる構造を取り入れられないかと考え、その構造設計をお願いしました。打ち合わせは週1回ほどオンラインで行い、隔週で対面でも作業を行いながら設計を進めました。

・どのような影響(効果)がありましたか
副業人材の方に関わっていただいたことで、新しい製品を比較的短期間で完成させることができました。
当初は3か月程度を予定していましたが、最終的には約4か月で製品が完成し、現在は販売を開始しています。専門人材に関わっていただくことで、大きな投資をする前に製品の可能性を試すことができたと感じています。
また、設計を担当してくれた方も、自分が関わったものが一つの商品として世の中に出たことをとても喜んでくれていました。
今回の取り組みでは、お互いの知識や技術を共有しながら意見を出し合うことで、自分一人では思いつかなかった視点や方法を多く得ることができました。
・ 副業人材の活用に期待することを教えてください
一番大きいのは、自分にないスキルを補うことができる点です。
バイオ分野でも新しい製品を生み出すには、機械や材料など異分野の技術との組み合わせが欠かせません。
今後は機能面だけでなく、使う人が少し楽しくなるような実験器具も作っていきたいと考えています。バイオ分野の器具は無機質なデザインのものも多いのですが、少し遊び心のある形やデザインを取り入れることで、研究者の気持ちも変わるのではないかと思います。
小規模事業者にとって専門人材を雇用することは簡単ではありませんが、副業人材の活用は、異分野の知識や発想を取り入れる大きな機会になると感じています。
・ 受け入れに関心を持っている企業様へ一言お願いします
異分野の人と一緒に仕事をすることで、自社だけでは気づかなかった視点や発想が生まれることがあります。
私自身、今回の取り組みを通じて、自分では当たり前だと思っていた仕事の進め方や考え方を見直すきっかけにもなりました。異業種の方の視点は、自社の強みや改善点に気づかせてくれる、いわば「企業の健康診断」のような役割を果たしてくれると感じています。
新しいものは、異分野の人と一緒に考えることで生まれることも多いのではないかと思います。 副業人材の受入れは、そうした新しい可能性を広げるきっかけになると感じています。関心のある企業の方には、ぜひ一度取り組んでみていただきたいと思います。
(令和8年3月26日掲載)
