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副業人材の活用企業をご紹介
~創業150年、京都の老舗が選んだ新しい挑戦~

株式会社鳴海餅本店
今回は、株式会社鳴海餅本店において、後継者候補であり現在営業企画部長の鳴海力哉様にお話を伺いました。

・どのような企業か教えてください
鳴海餅本店は、明治8年(1875年)の創業以来、餅や赤飯、和菓子などの行事菓子を通じて、京都の暮らしや年中行事に寄り添った商品づくりを続けてきました。「身近に食べていただける和菓子」を理念とし、餅や赤飯を京都の暮らしに欠かせない存在として、適正価格を守りながら「おいしいものを届ける」ことを大切にしています。伝統を守りつつも少しずつ更新を重ね、ご縁をきっかけに新しい挑戦を行いながら、これからも地域にとって身近な存在であり続けたいと考えています。
・副業人材の活用を検討するに至った経緯を教えてください
私は現在営業企画部長として業務に携わっていますが、創業150年を迎えたことや地域社会における会社の存在意義をさらに発展させたい、従業員にとって働きやすい職場にしたいという思いの中、一人で担う限界を感じる場面が増えてきました。自分の考えや判断が正しいのかを客観的に確認できる、「壁打ち相手」のような存在が必要だと感じたことが、副業人材の活用を考え始めたきっかけです。ちょうど看板商品の一つである栗赤飯が100周年を迎える節目を控え、記念企画の検討も進んでいました。一過性ではなく、店の本質に合った形で取り組みたいと考え、外部の知見を取り入れながら方向性を整理したいと思い、本格的に副業人材の活用を検討し、これまで何度か京都市の「担い手交流」実践プログラムのセミナーや交流会に参加する中で、副業・兼業人材の受入について思いが固まりました。
・どのような方に来ていただきましたか(選定方法)
副業人材として参画いただいたのは、株式会社FIELD MANAGEMENT EXPANDの佐野様です。当時は5名ほどと短時間の面談を行いましたが、佐野様はCM制作や映像ディレクション、地域創生の経験があり、私の思いを理解し思い描いていた構想に応えてもらえると感じたことが決め手になりました。2回目の面談で方向性の共通認識が得られたことから、正式にお願いし、現在は参画から約半年が経過しています。
・副業人材はどのような活動をされていますか
初回の打ち合わせでは、私自身のやりたいことを整理するところから始めました。その中で、「会社としてどの方向に進むのか」という軸を明確にし、社内で共有する必要性が見えてきました。新規事業を進めるうえでも、ミッション・ビジョン・バリューの整理が重要だと考え、取り組みを進めました。創業150年という節目もあり、既存のビジョンを見直し、現在は具体的な施策へと落とし込んでいます。また、現在は策定したミッション・ビジョン・バリューを体現する新しいサービスの企画開発にも関わっていただいています。

・副業人材に依頼した業務内容について教えてください
依頼した主な業務は3点です。
- 一つ目は、ミッション・ビジョン・バリューの整理と再構築です。安価で日常性のあるおいしい菓子を全国に届けていくために、商品づくりの軸となるミッション・ビジョン・バリューを、今、言語化しているところです。
- 二つ目は、新規事業に関する企画立案と壁打ちです。第三者の視点で意見をもらいながら企画を形にしています。
- 三つ目は、月2回のミーティングを通じた伴走支援です。考えが独りよがりになっていないかなど方向性を確認しながら、実行に向けたサポートをしていただいています。
・ どのような影響(効果)がありましたか
ミッション・ビジョン・バリューは、まだ完全に施策へ落とし込めている段階ではありませんが、私自身の仕事への向き合い方には大きな変化がありました。「決めた以上は体現していかなければならない」という意識が、より明確になっています。文言を見直したことで、やるべき仕事と、今はやらなくてよい仕事の区別がつきやすくなり、限られた条件の中でも判断がしやすくなりました。これが最も大きな変化だと感じています。また、定期的に考えを整理する時間が生まれ、構想段階にとどまっていたサブスクリプション事業も、具体的に動き出すきっかけとなりました。最終的な判断は自分が行うという前提のもとで、第三者の視点を取り入れられることは、精神的にも大きな支えになっています。
・今後副業人材の活用についてどのように考えていますか
多くの企業が人手不足に直面する中、今回利用している副業人材の活用をはじめとする働き方は今後さらに多様化すると感じています。フルタイムに限らず、特定分野や期間に限定した関わり方も十分に成り立つと思います。私自身、入社して約7年が経ち、さまざまな取り組みを行ってきましたが、どこかで頭打ち感を感じていました。そこからもう一段階ステップアップするため、外部の知見を取り入れたいと考えました。それにより、自社の現状を客観的に見直し、「取り入れる」「取り入れない」を自分で判断できるようになったことは、大きな収穫です。外部人材との協働は、今後も前向きに続けていきたいと考えています。
・ 人材の受け入れに関心を持っていらっしゃる企業様へ一言お願いします
京都の老舗企業にとって、伝統を守ることはとても大切です。ただ、昔ながらのやり方だけを続けていると、どこかで行き詰まる場面も出てくると思います。外部の知見を取り入れながら新たな可能性を探ることで、伝統は少しずつ進化していくのではないでしょうか。副業人材の活用も、そのための一つの手段だと感じています。実際にリモートで外部人材と取り組む中で、経営戦略整理や企画立案、ミッション・ビジョン・バリューの言語化といった抽象度の高い業務であれば、十分に進められると感じました。オンラインでやり取りを重ねながら、役割や進め方を最初に共有しておくことが、スムーズに進めるポイントだと思います。一度現場で感覚を共有するのも有効でした。外部からの意見は、すべてを取り入れる必要はありません。材料として受け取り、その中から自社に合うものを選び、最終的な判断は受け入れる側が行う。そうした関わり方が大切だと感じています。出会いには運の要素もありますが、出会おうとしなければ始まりません。まずは関心を持って、一歩踏み出してみてほしいと思います。

(令和8年2月26日掲載)
